コラム

2004/09/02

祇園精舎の鐘の声(長・YK)

2004.09.02 【祇園精舎の鐘の声】

▼「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響き有り」。御存じ平家物語の冒頭部分だ。これが今年小学1年生になった娘の勉強机に、ひらがなで書かれ挟まれている。筆者が『猛き者も遂には滅びぬ』と上の句を言うと1年生の娘は『偏に風の前の塵に同じ』と対句を言う。意味も分からず『盛者必衰の理を現す』などと言うものだから、つい笑ってしまう

▼先日突如、中学2年の長女が『祇園精舎の鐘の声』と筆者に挑んできた。夏休みの課題で後ろの方まで暗記したのだろう。内心「これはマズイ」と思った。しかし何とか『平朝臣清盛公〜心も詞も及ばれね』まで辿り着くことが出来た。長女に向かって「どうだ!」と言ったものの、冷や汗ものだった

▼平家が隆盛を誇った時『平家にあらずば人にあらず』と思い上がった。昨今、残念だが長野県庁では『建設業者は人にあらず』のような偏見が目立つ。先般、入札制度を検討する委員会の長が公の場で公共事業を『餌』に例え「マズイ餌には寄りつかなくなる」と発言した。業者を鳥や獣と同程度に考え『人にあらず』的な偏見がこの発言に見え隠れする

▼県は県民益が第一と声高に叫ぶが、建設業に従事する者も県民のひとりに他ならない。行政が建設業者を特別な偏見で扱う資格を持っているはずもない。公共事業を担う建設業者は基本的には対等の立場で契約に至っているはずである

▼『驕る平家は久しからず』と言われるが、業者は、驕り高ぶることなく地道に本業に精勤している者が多い。保護政策を採れとは言わない。しかし偏見はいかなる利益も生み出さない。今回の件は猛省を促したい。(長・YK)

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