コラム

2004/09/03

首都機能移転という切り札(前・HI)

2004.09.03 【首都機能移転という切り札】

▼韓国の首都が、ソウルから移転されるというニュースが流れた。場所は、北朝鮮の国境に近いソウルから南へ130?、韓国中部の忠清南道公州・燕岐(コンジュ・ヨンギ)地域。来年から用地取得を開始、2012年から3年間で移転すると伝えられている。反対意見もあり、実現の可能性は未知数だ

▼近年における海外の代表的な首都機能移転を見ると、ドイツ(ボンからベルリン)、ブラジル(リオデジャネイロからブラジリア)、オーストラリア(メルボルンからキャンベラ)などが挙げられるほか、マレーシアなど、計画が進行中の国もある

▼ベルリンの場合は、東西ドイツの統一によるものだが、ブラジリアは、内陸部の地域振興や国土の均衡ある発展が大きな目的の一つだった。新たな国家シンボル誕生の産みの苦しみは想像を絶するが、その影響は絶大だ

▼そういえば、我が日本においても、移転候補地を絞り込む議論が進んでいたような気もするが、いつの間にか先送りになっている。小泉首相は当時、「私は移転論者だが、私の内閣で現実の政治課題に乗せるべき問題ではない」と、どこかで聞いたことのある言い回しのコメントを出し、東京都は石原知事を中心に、反対論を展開した

▼現代社会は、価値の多様化が進み、様々な生き方が認められる社会になった。一方で、貧富の格差など、多方面において、二極化が進んでいる。一握りの勝ち組と多くの負け組に分けられ、中流層が減少の一途を辿っている。首都機能移転という手法は、確かに多くのリスクと困難を伴うが、あらゆる一極集中を抜本的に解消する切り札になるかも。(前・HI)

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