コラム

2004/09/08

公共事業必要論(甲・EO)

2004.09.08 【公共事業必要論】

▼経済評論家の森田実氏が 『公共事業必要論』(日本評論社)を出版している。ご承知の通り公共事業は一時は極端な賛美が行われたかと思えば、今日では一転して悪役にされてしまっている状況だ。同書にあえて『公共事業必要論』のタイトルをつけたのは、極端な公共事業悪役論を批判することによって、間違った世論を正したいと考えたからだという

▼財務省は「公共事業は借金によって行われている。だから公共事業はこれ以上やってはいけない」とあおった。このスローガンに一部マスコミが、政治では抵抗勢力、公共事業では道路公団を悪者として一斉に批判した。偏った情報の洪水で世論も公共事業が悪いものであるかのよう思いこんでしまった

▼財政難で発行する国債は15年度で36兆4000億円だった。このうちの建設国債は6兆4000億円に過ぎず、財政悪化の主因が公共事業であるとするとすのは財務省の曲解でしかない。財政悪化の主原因は、デフレ不況化で緊縮財政をとる財務省の緊縮財政主義こそにある

▼最近の景気回復も「財政支出なき回復」というのは真っ赤な偽り。小泉内閣はドル安・円高是正を名目に34兆5000億円ものドルを買っている。その大部分が米国債の購入に充てられ、これが米国経済等の好景気を維持し、回り回って日本の輸出を増やすという大がかりなトリックだというのだ

▼大半を占める公共事業批判の世論に対抗するのは勇気のいることだ。同氏はさらに建設業者に対して、日本政府の政策を米国重視から日本国民重視の方向を変えさせるため「政治力」の行使を考えてはーと提言している。(甲・EO)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら