コラム

2004/09/11

皇居のお濠に住む魚(甲・TH)

2004.09.11 【皇居のお濠に住む魚】

▼休日は、近くの湖に出掛け、魚釣りを楽しむ。ブラックバスを釣りに行くのだが、なぜかブルーギルという魚が良く釣れる。その魚は、昭和35年、当時の皇太子殿下の渡米の際に土産として贈呈された魚。原産地は、北アメリカ東部ミシシッピー川流域。水生昆虫やエビ類、水草などのほか、魚の卵や稚魚を好んで食べるため、今では我が国の嫌われもの

▼特に生態的に深刻な影響が認められる日本一の湖、滋賀県の琵琶湖では生息数を出来る限り減らすため、ブルーギルやブラックバスなどの外来魚を積極的に駆除。今年度からは、外来魚移入種の有償回収も始まり、県が1キロ150円で漁業者から買い上げる

▼最近の調査によると、皇居のお濠の魚の約9割がブルーギルのようだ。皇居のお濠は、石垣に囲まれ、周辺に水生植物は存在しない。また、お濠の管理方針が一切の水生植物を排除することにあるらしく、本来生育が可能なはずの浮葉性植物(スイレン、ヒシ)や浮漂性植物(ウキクサ、サンショウモ)も全くない

▼皇居のお濠は、水生植物群が欠落しているが、桜の花びらが水面を覆う様子が春の風物詩になっているように、周辺樹木の落葉等による有機物の供給があり、それに伴いユスリカの幼虫などの底生動物群が数多く存在する。それが同魚の主要餌になっているらしい

▼環境省では今年度、同魚の駆除に乗り出すという。皇居のお濠は、同魚を頂点とする水生生態系の絶好のモデル。駆除するのではなく、この生態系と生物種間のかかわりを究明し、在来種の絶滅や生態系への影響、ブルーギルなどの外来魚の実態を調査してほしい。(甲・TH)

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