コラム

2004/09/15

吉宗に学ぶ少子化対策(本・MM)

2004.09.15 【吉宗に学ぶ少子化対策】

▼子供、若者、働き手が減り続けてる。日本の人口は2006年度をピークに、その後減少に転じマイナス成長時代に突入する。15〜60歳の生産年齢は、すでに95年をピークに減少の一途。結婚しない子供や親と暮らす高齢化家族が急増している

▼少子化が予想を上回るスピードで進行していることを示したのが先に公表された出生率だった。1人の女性が一生の間に産む子供の平均数を示す「合計特殊出生率」が初めて1・3を下回り1・29になった。現人口を維持するには2・08が必要とされる。

▼中教審は07年に大学入学定数の総計と進路希望者がほぼ重なると試算。これは大学入試というハードルが事実上消え、希望すれば入れる大学の時代が到来することを意味する

▼国は「夫、妻、子供2人」を標準世帯と定義している。ある統計によれば、夫婦と子供からなる世帯は全世帯の32%。しかも3年後には1人暮らしの「単独世帯」に追い越される。10年に成人の過半数は50歳以上となる。実態は標準から掛け離れ過ぎている。今年6月に政府は少子化社会対策大綱を閣議決定した。標準家族を前提に組み立てた日本の設計図が古びてきた。スタンダートをいち早く見直さないことには、将来の標準も描けない

▼江戸時代の元禄バブル経済が崩壊した後、徳川吉宗が展開した「享保の改革」は少子化対策が最大の柱だった。当時農村では労働力にならない子供を生みたがらなかった。そこで吉宗は、新田開発による食糧の増産を命じ、灌漑用水の工法を工夫させた。埼玉県に残る見沼用水は、その名残である。以後吉宗は米将軍と呼ばれた。吉宗に学ぶべきだ。(本・MM)

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