コラム

2004/09/16

大詰めを迎えた市町村合併(前・HI)

2004.09.16 【大詰めを迎えた市町村合併】

▼市町村合併が特例法の期限を睨んで大詰めを迎えている。しかし、ここへ来て、これまで順調に協議を進めてきたと思われる合併協議会で意見が対立し、中止になる例も目立ち始めた。役所位置や新市名称で結論が出なかったり、住民が投票で「合併ノー」を突き付けたりすることがその理由の一つだ

▼これは、いずれも問題を先送りにしてきた結果であるとも言える。妥協や譲歩ができる問題から協議に入ることは、協議を進展させるための確かな手法ではあるが、それは抜本的な解決にならず、いずれその問題と対峙することになる

▼そうした問題も並行して取り組むことが必要だが、「どうしても譲れない問題」というものは出てくる。世界各地で起きている紛争を見てもそれは明らかで、世界最高水準の頭脳を結集しても、紛争当事者が納得する解決策を見出すのは困難なようだ

▼紛争をみると、そのしわ寄せは一般市民に及ぶことが多い。ロシアとチェチェンによる紛争で、先般、ロシア南部ベスランで起きた学校人質事件は、小学校が標的にされた。あるテレビニュースで、人質となった子供が「僕たち何も悪いことしていないから殺されないよね」と、一緒に囚われた母親に話しかけたという報道を聞いたとき、やり場のない憤りを感じた

▼市町村合併について市町村長は、住民の意向を正確に把握したうえで、協議のテーブルに臨んでほしいし、常に住民の代表だということを意識してほしい。「随時説明会を開き、市民の声に耳を傾けている」という意見もある。しかし事後報告的な説明会では、市民の関心が低くなるのは無理もない話である。(前・HI)

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