コラム

2004/09/18

倒産者を救い続けて26年(さ・HS)

2004.09.18 【倒産者を救い続けて26年】

▼企業の研修会や経営者セミナーなどの取材に招かれることが多い。経営のスペシャリストと評されている方々が「勝ち残れる経営」や「いま、生き残るには何をなすべきか」という講演だ。しかし概論ばかりで各論が少ない

▼印象に残っている講師がいる。自分のことを先生でも評論家でもない、ただの会社を潰したダメな男と評し、倒産を救う会であると同時に、倒産の悲劇を救う会でもある八起会(東京都台東区、03―3851―2055)の会長を務める野口誠一氏(?ノグチプランニング代表取締役)だ。倒産110番を中心に再起・整理・人生相談までを無料奉仕で手掛け、26年間も相談に乗ってきた

▼70余年の人生は、25歳で玩具メーカーを始め、5年後には従業員100名、年商12億円を売り上げるまでに成長させた。しかし自らの慢心による放漫経営で会社を40代半ばで倒産させた。経営を人任せにして会社の金を競輪・競馬・女性に注ぎ込んだ。三味線、日本舞踊が度を越えて、自分が主役の発表会を演舞場を貸し切って開くという放蕩三昧を尽くしたという持ち主だ

▼倒産の修羅場を体験した同氏の講演内容はズバリ、生き残れる企業の条件として、興す社長と潰れる社長の違いを指摘していく。経営者は利益を出すためには進んで勉強をするが、会社を潰さないための勉強はしないのかと問いかける。経営者の目的・理念は社会に貢献し、会社を潰さないことだと説く

▼「企業はつくったらつぶれる」。背伸びせずに身の丈に合った経営を心がけよということなのだろう。文字通り波瀾万丈の人生に教わることは実に多いし説得力がある。(さ・HS)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら