コラム

2004/10/13

健在、ヤマトの闘う遺伝子(本・MM)

2004.10.13 【健在、ヤマトの闘う遺伝子】

▼ヤマト運輸の「闘う遺伝子」は今も健在だった。コンビニエンスストアのローソンを「ゆうパック」の取次店にするのは独禁法違反だとして、ヤマトが日本郵政公社を提訴した。民間業者と同じサイズ制を導入し割引料金を打ち出したことに我慢がならなかったと聞く

▼公社には様々な特権がある。法人税免除、税制優遇措置、手紙・はがきの独占配達権による利益の中での競争は市場の公平性、公正性に欠ける。「民間の後追いまでして、民間にできない価格を設定。赤字分を特権で得た利益で賄う腹積もりだ」とヤマト側は批判

▼ヤマトの商標である宅急便は、約30年前に「企業ばかりの相手では売上は頭打ち」として一般家庭の荷物を配送し宅配専門に発想を転換。消費者から消費者に荷物を送る小口サービスとして始まったが今も高コスト化は改善されないまま。ライバルの佐川急便は大口の企業間輸送が中心で効率配送による低コストが持ち味

▼20年前、全国展開を前にヤマトは、新規路線開拓に路線免許が必要との行政の壁が立ちはだかった。「全国の人が便利な宅急便のサービスを受けられないのは不当だ。認可しないなら運輸相を訴える。利用者にとって便利なものがなぜダメなのか」。不認可の事情を新聞広告に掲載。これが社会問題化し世論を動かした経歴をもつ

▼ヤマトは訴訟だけにとどまらない。政治家には献金しない、総会屋とは関わらない、監督官庁の天下りは一切受け入れないという不文律が存在する。司法の良識を信じて疑わないようだが、当時の郵便局もヤマトへの危機感から「ゆうパック」を始めたことはご存じのはずだが。(本・MM)

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