コラム

2004/11/02

今こそ有効な補正予算を(水・YH)

2004.11.02 【今こそ有効な補正予算を】

▼本来ならば今頃は紅葉に目を奪われている時期。しかし今年は相次ぐ台風の上陸、新潟県中越地震等自然の猛威にジッと耐えている世相だ。秋を楽しむ心境にはもう一つなれない

▼95年1月17日の阪神・淡路大震災は、自然の恩恵に100%享受していた日本国民には余りにも強烈なしっぺ返しであった。茫然自失の状況で、為す術も無く身を委ねるしかなかった。生きるための最低限のインフラ・「ライフライン」の言葉が定着したのもこの地震だ。そして今回、対応という意味では十分に生かされた

▼しかし現実は最悪の環境を露呈した。阪神・淡路大震災では公共土木関係の被害額は三次にわたる補正予算で延べ約3兆円の災害復旧費を計上した経緯がある。今年度当初政府が計上した災害復旧費はわずか726億円だ。しかし政府は相次いだ台風、新潟県中越地震の災害復旧費に合算すると2兆円を要するだろうと試算

▼10月中旬段階での被害額は7月新潟・福島・福井の豪雨で2114億円、8月台風16号宮崎・奈良・大分の1172億円、9月台風21号で三重・奈良・高知の1063億円、その他台風10、11号、18号までで7259億円に達している。この段階ですでに昨年1年間の災害復旧費3937億円の倍近くに及んでいる。台風23号、新潟県中越地震を加算すると2兆円の巨費に

▼崖崩れの現場から92時間も生き抜いた2歳の子供が救出された。涙した人も多いだろう。安全に生活するための生活基盤は社会的に近年嫌われ者の公共事業によって確保されているはずなのに。今は補正予算による復旧費の早急な成立と事業執行が待たれる。(水・YH)

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