コラム

2004/11/05

その時、去来するものは(さ・AO)

2004.11.05 【その時、去来するものは】

▼筆者の家で物置として使っている古い母屋を解体した。新しい物置を作るためだ。母屋は、建築年不明ながら、推定150年は経過しているとのことで、いわゆる古民家風。茅葺の屋根は、30年ほど前にトタンに葺き替えたが、大黒柱、梁、欄間など、解体業者も何かで使えるかもしれない、と慎重に分解しながら解体を進めていた

▼業者に言わせると、蕎麦屋などを新築するときに使って、いい雰囲気をかもし出すのだという。確かに、そんな店を見かけることがある。古民具なども合わせて置いてあり、頷かせる。まあ、それに見合った味も出してもらえれば、食べる立場として言うことはない

▼自治体が、施設を建て替える場合「現地で建て替えですか」と尋ねることが多い。公民館などでは、現在の活動を中断できない場合、移転改築となる。学校など移転が難しく、敷地にも制限がある場合、仮設校舎を設けて、建て替えることがある

▼学校の校舎で、特に木造の時など、OBや近隣住民なども解体現場に顔を見せ、それぞれの思い出を胸に、解体の様子を見守る風景が方々で見られる。個人の家にしろ公共施設にしろ、思い入れ、愛着のあるものが無くなることは、胸に来るものが多々ある

▼いまや市町村は合併の時代。特例法期限内の合併に向け、動きが加速している。一度、協議会を解散し、新たな枠組みとしたところほど動きが速い。締切間近の小説家を思わせる。合併期日を前後して、閉町式とか開市式などのセレモニーがある。住民をはじめ、役所の職員、首長など、胸に去来するものは。寂しさと希望なら、希望に満ちたものが絶対いい。(さ・AO)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら