コラム

2004/11/19

時代を超えた本物(新・KS)

2004.11.19 【時代を超えた本物】

▼北海道余市。余市といえばやはり、街中が沸き立ったニシン漁とニッカウヰスキー北海道工場が思い浮かぶ。ニシン漁は時代の流れの中に埋もれてしまったが、ニッカウヰスキーは愛好者の中に脈々と息づいている

▼何年前になるだろうか?北海道旅行の折り、ふと立ち寄った場所。余市駅から歩いてすぐのところにそれはあった。余市蒸留所は、とんがった赤い屋根、石造りの重厚な建物、まるで中世ヨーロッパの古城を思わせる風情で、今も街のシンボル的存在だ

▼創業者は日本のウイスキーの父と言われる竹鶴政孝。明治27年広島県竹原市の作り酒屋に生まれる。少年時代2階の階段から転がり落ちて鼻を強打、「大きい鼻がさらに大きくなった。怪我の功名か、この後、人が感じない匂いを感じるようになり、酒類の芳香を人一倍利き分けられるようになった」とその時の怪我について語った

▼政孝とウイスキーの出会いは、大阪高等工業(現・大阪大学工学部)の醸造科入学で始まる。当時の洋酒といえば、焼酎に色をつけた、いわばイミテーションであった。政孝は「日本で本物のウイスキー」づくりを決意、本場スコットランドへ武者修行に出かける。帰国後、寿屋(現サントリー)を創業した鳥井信治郎に出会い、京都山崎でウイスキーづくりの一歩を印す

▼しかし「豊かな北の風土がなければ本物のモルトをつくることはできない」と同社を退社。北海道余市に蒸留所を建設。1934年ニッカウヰスキーを創業した。70年の歳月を経た今も、ニッカの本物の品質へのこだわりは変わることない。そして必ずや時代を越えて愛され続けていくだろう。(新・KS)

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