コラム

2004/11/25

「何故」を考える(前・HM)

2004.11.25 【「何故」を考える】

▼今年の大河ドラマ「新選組!」は面白い。筆者としては久しぶりに見た大河ドラマだったが、三谷幸喜氏の脚本もテンポが良く楽しめたし、若手中心の俳優陣も新鮮だった。数多くのシーンが印象に残っているが、特に注目だったのが「池田屋ノ変」だ

▼池田屋事件といえば、新選組が天下にその雷鳴を轟かせる歴史上の重大事で、ある意味最も注目したシーンだ。撮影には二階建てのセットや移動式のカメラなどが用いられた。その結果は、秀逸な出来栄えと筆者には見えた。セットとは思えぬ、古い木造旅館を舞台とした立ち回りは迫力満点だった

▼よく「池田屋ノ変で明治維新は少なくとも1年遅れた」と言われる。新選組の力を表現した言い方だが、司馬遼太郎氏はその著書『燃えよ剣』のなかで、むしろ逆に「この事件がなければ、薩長主導の明治維新は永久に来なかったかも」という考えを述べている。池田屋ノ変が革命に必要な強烈な軍事行動の引き金になったという考えだ

▼確かに、それまでの諸藩では革命までの気運は高まってなく、一人長州だけが加熱していた。同胞が無残に殺された長州はさらに加速し、その勢いはついに明治維新に至った。結果だけを見ずに、司馬氏のように「なぜ起こったのか」を考える事は大切だろう

▼例えば自分が仕事で失敗した時も、「もっと気をつけよう」ではなく、なぜ失敗したかを考えることで、「次はこうしよう」と具体的な対策が見つかるかもしれない。池田屋で長州を討った新選組は、のちに朝敵として滅んだ。滅ばされる原因を作ったから。その原因を明確にするためにも「何故」は基本だと思うが。(前・HM)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら