コラム

2004/12/16

名称変更の効用(前・HI)

2004.12.16 【名称変更の効用】

▼新潟県中越地震で山古志村に「天然ダム」ができたと報道されて間もない頃、取材先でこの話題の最中、その人は不快な表情になり「何が天然ダムだ!」と声を荒げた

▼「あれは災害であってダムではない」というのが氏の弁。私も「天然ダムというと、何か聞こえが良く、今回のものにはふさわしくないですね」と応じた。その後国土交通省は、被災者の感情を配慮して、天然ダムの呼称から「河道閉塞」と呼ぶことにすると発表したが、現在ではよりイメージの湧く「土砂ダム」が定着している

▼呼称・名称の変更は様々な分野でも起きている。「痴呆」は「認知症」へ変わり、「おれおれ詐欺」については、犯罪の実態が名称とかけ離れているという理由で、名称の変更が提案されている。現在の「おれおれ詐欺」は非常に巧妙化しており、電話口で「おれおれ」と名乗る人は少ない。電話口には複数の人が登場し、電話を受けた方も「おれおれ」と言わないから本当だろうと信じてしまう

▼「税金の無駄遣い」等、今ではすっかり悪いイメージで固定してしまった「公共事業」という名称も、変更したらどうだろうか。公共事業の内容は、道路や水道といった国民全ての生活に密着した欠かすことのできないもの。そのような観点で、好印象を与えられる名称に変更できないものだろうか

▼時代の流れで恵社名が事業内容と結びつかないもの、名称が一人あるきしているもの、制度疲労を起こしているもの等々。これらが名称を変えるだけで甦るケースは現実的に非常に多い。年の節目に、発送を転換し、そして名称を変えて、新たなスタートを切るのもよいのでは。(前・HI)

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