コラム

2005/01/21

ISOの可能性(本・SY)

2005.01.21 【ISOの可能性】

▼ISO9001に基づく品質マネジメントの原則の1つに「効果的な意思決定の実現」という項目がある。各種データや情報をもとに現在取り組んでいるプロジェクトに対して迅速的確に意思決定を行い、高品質のマネジメントを実現するものである

▼このISO9001の基本原則をもとに業務の緊急対応マニュアルの構築に日々努力を傾けていたある建設会社のトップが「昨年のたび重なる災害の復旧工事において、通常の公共工事発注手続などしている余裕のない差し迫った状況でISOのマニュアル修得が非常に活きた」と某ISO認証機関の会議で述懐していた

▼ISOの品質マネジメントというと、各プロセスごとの書類審査が膨大で、認証を受けようとする企業の担当者が非常に苦労するという話をよく耳にする。「ISOの基本原則に忠実に従っていたら時間と経費がどんどん消費されて本業がおろそかになってしまうのではないか」と危惧するのは正に「素人の浅はかさ」だった

▼災害復旧現場に限らず、建設現場で日に幾度となく緊急対応を余儀なくされている現場の技術者は強い。ISOを理屈ではなく、体にしみ込ませているのだろう。スポーツなどで最高の技術レベルを極めた選手が難しいプレーをあっさりこなすのとどこか似ている。その卓越した技術も毎日の苦しい練習の積み重ねで実現したものである

▼昨今のように大規模な災害が国内国外を問わず頻発すると、災害復旧活動に活躍する人々だけでなく、一般市民もISOが目標とする「効果的な意思決定」能力を身につけ、危機管理力を強化する時代に来ているのでは。(本・SY)

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