コラム

2005/01/26

天災が問うこと(長・EM)

2005.01.26 【天災が問うこと】

▼先日あるテレビ番組で「地球規模の温暖化により、やがて東京は沖縄並みの気候にー」と驚がくの警告。ギラリ差す陽に北の大地を想うことも、ヒュルリ寒風に吹かれ南の島を望むこともなくなるかもしれない。当然だと思っていた事象が移ろいゆく時、戸惑いうろたえるのは凡人の性か

▼とは言え大寒を過ぎたこの頃、日々深々の冷えこみは相変わらず。長野市では年末から年始にかけて大雪に見舞われた。雪に触れたことのない娘を早々に軒先へと連れ出したが、初めて見る一面の銀世界を前にはしゃぐこともなく神妙な面持ち。彼女もまた脈々と凡人の血を受け継いでいるらしい

▼初詣でに向かう道は国道さえも圧雪状態。途中片側2車線の橋では車が道をふさぐかたちで縁石に乗り上げ立ち往生し、大渋滞を引き起こしていた。妻は「神頼みの道すがら事故にあったのではやりきれないね」とぼそり。至るところ同じ有り様で、行政には住民からの苦情が相次いだ

▼今回の事態の要因はこの冬初めての大雪が年越しであったことはもちろんだが、除雪作業を委託している地元建設業者の人員や重機不足もあるという。業者には予想外の大雪に対応できるだけの備えをする余力など残ってはいない。言うまでもなく昨今の建設投資削減やこれに伴うパイの奪い合い、低価格受注による影響である

▼建設業は造るだけでなく、保ち守ることで地域の生活基盤を支えている。着々と進行する業者淘汰の後で、いかにして災害列島ニッポンと向き合うのか。度重なる天災は消費社会だけでなく、公共事業不用論に対する警告かも知れない。心して現実を見つめたい。(長・EM)

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