コラム

2005/01/27

テイクオフできるか(前H・I)

2005.01.27 【テイクオフできるか】

▼新年度の政府予算案が明らかになった。内容を見て「さあ、今年も頑張ろう」と奮起する材料が建設業界にとっては少ない。公共投資は対前年比4%減となるなど減少傾向は依然として継続。内容を見ても、重点的・効率的な配分の名のもと、特に地方にとっては厳しい内容だ

▼建設業者の合併も、中央ゼネコンのK組とT建設の例が象徴するように、国や銀行が考えているようには進んでいないのが現状。地方の一例を出すと、売上高のある地場ゼネコンと、特許技術を有する会社。役員も「お互いのないものを補い合う理想的な合併」と胸を張ったが、合併を待たず、地方ゼネコンが倒産してしまった。合併の本当の理由は、やはり別のところにあった

▼昨年こんな話を聞いた。堅実経営で名の通っていたある建設業者の社長が「2年後には仕事をやめる」といった。それは景気の問題ばかりではなく、後継者に恵まれなかったという理由もあったようだが。残念だがこの現実は意外と多い

▼建設業は、社名の多くが創業者の姓名の一部を冠しているように、同族企業が多い。こうしたオーナー企業の場合、経営権は同族に引き継がれるが、その後継者となる家族が、別の職業を選ぶことも今は多いという話も聞く。その人の、向き不向きもあるだろうが、それ以上に「建設業の将来が見えない」という不安が大きい

▼ものをつくる歓び、それを多くの人が利用する姿を見る感動。建設業で働く人が今年1年、仕事に励むためテイクオフする力となるのは、日常の仕事を通して得られる喜びではないか。それが魅力ある建設産業づくりにもつながっていくはずである。(前H・I)

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