コラム

2005/02/05

社会が求める業態転換(水・TY)

2005.02.05 【社会が求める業態転換】

▼東京秋葉原とつくば市を結ぶ鉄道「つくばエクスプレス」が今秋開業する。通過駅周辺の沿線開発が都市再機構と地元により本格化する中、駅周辺を中心にマンション建設や商業施設の誘致が進んでいる。終着駅が整備されたつくば市ではひとつの試みが動き出す

▼最先端の研究機関が立ち並び、研究学園都市としてのイメージが強いが、もともとは米やネギなどを生産する農業地帯。このつくば市が内閣府に農業活性化特区の認定を申請した。後継者の減少と農業を営む生産者の老齢化を理由に700?以上ある休耕地が今も増加しているからだ

▼農地法では売り上げの半分以上を農業関連で占めなければ農業への参入が認められないが、特区でこの規制を緩和する。土地リース方式により休耕地を市が借り、農業生産法人以外の企業に貸す。認定を受ければ、6月補正に関連予算を計上する見込み。機械や人材に余剰を抱える建設業も受け皿を担う

▼新年度から国交省は、全国都道府県の建設業協会に「ワンストップサービスセンター」を設置することを決めた。政府が建設投資を削減し続ける中にあって、再編・淘汰の取り組みに思った結果を残せず、窮状打開を訴える地方の中小建設業者の業態転換や新分野進出を促すねらい

▼これまでは整備局単位で相談窓口を置いていたが、専門家による経営診断やアドバイスが受けられる場として各地元に看板を掲げる。人材をフルに活かし、地の利を活かす。バブル期に多角経営で痛手を負った経験から足取りは鈍かったが、業態転換は世の中が求める声であり、地域貢献の新しい形なのかもしれない。(水・TY)

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