コラム

2005/02/09

生き残ってきた固有種(甲・KY)

2005.02.09 【生き残ってきた固有種】

▼既に今年も2月半ばだが今年は酉年。そもそも「酉」とはお酒を盛る器を表した象形文字で、その後に十二支を覚え易くするために動物の名をあて「酉」がトリ(鳥)とし使われるようになったとされる

▼鳥といえば昨年は、鳥インフルエンザの感染が大きな問題となり、養鶏農家や家庭の食卓に多大な影響を与えた。ついには京都都府丹波町の鳥インフルエンザ感染で、養鶏場を経営していた日本有数の養鶏企業の浅田農産が廃業に至った。鳥のほかにも牛肉の狂牛病(BSE)など、近年、家畜の感染病についての発生が続き、我々の食生活に家畜が大きなウェートを占めていることを改めて感じさせている

▼国連食糧農業機関(FAO)は2000年にまとめた報告書のなかで「飢饉や干ばつ、疫病など将来の脅威に備えるための保険として家畜遺伝子の多様性を維持する必要性を強調。それよると、家畜遺伝子資源データバンクが1990年から2000年までの10年間に約170か国で収集した家畜・家きん類6379種のデータで、個体数まで把握しているのは4183種。そのうち740種はすでに絶滅、また全体の約3割にあたる1335種は絶滅の危機にひんしているとしている

▼これは途上国が経済的効率を求めた結果、地域の固有家畜種の生産から、先進国からの家畜の輸入に移っていることなどが大きな要因だとされる

▼固有種は、その地域に順応し、自然と折り合いをつけて残ってきた。効率や経済性が求められる社会全体の流れなかで、長期的な視点で、多様性を維持していくことの重要性を改めて見つめ直すことも必要だろう。(甲・KY)

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