コラム

2005/02/22

重職心得箇条と平成大合併(水・YH)

2005.02.22 【重職心得箇条と平成大合併】

▼『重職心得箇条』は文政9年岩村藩の教育係であった佐藤一斎が家老(重職)たちに説いた箴言をまとめたものだ。近年、財政界人で一斎の著で転機に左右されたとする人が実に多い

▼特に『言志四録』は処世術や政治、教育等広範囲な教訓が網羅されており、21世紀の混迷期には影響を受ける名著。江戸末期の学者にしてはスケールの大きい見解が実に小気味よい。中でも『重職心得箇条』は、平成の大合併が推進されている今日、「こうあるべきだ」とする方向性を決断する時、教えの意味は貴重だ

▼「重職は、時に応じて、改めるべきことを改めよ」(慣習にとらわれるな)、「重職はチャンスを逃してはならない」(チャンスを逸すると後で行き詰まる)、「重職は、渦中にのみこまれてはならない」(活きた目で客観的に見極めよ)、「重職は、公開すべき情報はすべて公開せよ」(隠すと逆効果)等々。当たり前なことだが、信念とすると困難だ

▼制度疲労を起こしている官民システムを、現代の流れに添って、かつ将来の展望をもって見直そうとする一つの改革が市町村の合併だ。2005年1月現在2927ある市町村が2006年の4月にまでに1850程度になると予想される。残念なことに狭量な判断によって不調に終わるケースが後を絶たない

▼合併は基本的には政治の場に委ねられる。当然、判断する側に大局的な見地や資質が問われる。今日、純粋に『重職心得箇条』に添って職が遂行されるなら、少子・高齢化や財政難、国際化等の障害は乗り越えるに明るい見通しだ。合併は約50年間動いていない。大昔の状態で良いはずは無い。(水・YH)

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