コラム

2005/03/09

大雪とインフラ(前・NK)

2005.03.09 【大雪とインフラ】

▼この冬、日本各地がたびたび大雪に見舞われている。新潟県中越地震の被災地周辺は19年振りの積雪を記録、雪害も発生した。先月23日には東京で春一番が観測された。今後、山間部では春が近づくにつれ雪崩なども心配だ

▼群馬県沼田市に暮らす筆者の叔父も、これほどの雪は数年ぶりと言う。例年、積雪は多くて30センチほど。だがこの冬は一晩に80センチ以上積もったことも。その大雪で被害も受けた

▼雪の重みに耐えられずに車庫が全壊。普通車2台と農作業用の軽トラック1台が巻き込まれた。1台は根元から折れた車庫の支柱がめり込み、屋根部分がV字に。そのほか2台もとても走行できる状態ではない。その後、瓦礫と化してしまった車庫が、実は積雪地仕様でなかったことが判明した

▼「例年くらいの雪なら」という甘い予測は、猛烈な寒波の襲来によって覆され、車庫1棟と車3台が犠牲になった。現場検証に来た保険会社の人は、車が無ければ、母屋の屋根や壁に崩れた車庫が覆い被さり、破壊されていただろうとの見解。けが人が無かったのは不幸中の幸いだが、価格にほだされて車庫を購入したのが悔やまれる

▼自然は限りなく美しく人類は恩恵を被るが、時として刃をむける。その規模も予想をはるかに越えることが多い。その都度、インフラ整備のあり方やリスクマネジメントにスポットがあたり重要性が議論されるが、喉元すぎれば熱さを忘れるのが世の常。根幹である公共事業は、財政逼迫の最たる原因とされてしまう。出費だけに惑わされ適切な備えを怠れば、結局大きな痛手を負う。この当たり前の事実を忘れてはならない。(前・NK)

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