コラム

2005/03/16

世相を反映する当初予算(さ・YW)

2005.03.16 【世相を反映する当初予算】

▼都道府県予算案が出揃った。この時期は17年度当初予算案の内示が花盛りである。政策を最も反映する予算編成は、その時々の時代の世相を映し出す鏡といってもよい

▼今年の予算案の特徴は建設業構造経営改善支援や建設業新分野進出支援などといった趣旨の言葉が並ぶ。つまり、建設業本体では「今後は経営をやっていけない」ことから、新分野進出の窓口や研修・講演事業などに予算が付いたと察知する

▼10年前の阪神淡路大震災が発生した年は、予算計上だけではなく、国会や県会質問までもが「危機管理」や「耐震性は大丈夫か」などが飛び交ったものだった。さて今年は、国の動きと相まって新分野進出、建設業の構造改善などが積極的に進められようとしている

▼ところで、埼玉県内のある業者の社長から面白いお話しを伺った。ポエムティックな言い方をすると「海は悲しい所である」と。悲しい時に海をぼんやりと見ている場面はドラマでもよく見かける。その社長は新分野進出を視野に入れ、今後どうやっていくのかを迷い、「海に出かけ耳を傾け答えが返ってくることを期待した」らしいと感じた。そう言えば、20年以上前渡辺真知子さんの『かもめが翔んだ日』の歌で「人はどうして悲しくなると海を見てるのでしょうか」とのフレーズがあった

▼農林水産省も17年度から「農地リース方式」や建設業を対象とした「農業参入支援の基盤整備実証事業」など受け皿づくりを進め、新分野進出対象分野として農業を考えているようだ。今年は、新分野に本格的に参入する企業と、全く何も考えない企業の、決断の岐路になる年になりそうだ。(さ・YW)

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