コラム

2005/04/02

超地域密着が生んだもの(前・NK)

2005.04.02 【超地域密着が生んだもの】

▼3月5日、夢舞台の幕が上がった。湯煙漂う温泉町のサッカークラブ・ザスパ草津がJ2昇格初戦を迎えたのだ。全国の強豪がひしめく厳しい戦いが予想されるが、群馬県で初のプロスポーツチーム。温かく見守りたい

▼チーム名の「ザスパ」は、温泉=THE・SPAに由来する。草津温泉の旅館や商店で選手達が働きながらJリーグを目指すという、前例のない「超地域密着」のクラブ運営は注目を集めた。話題先行だと揶揄する人もいたが、それを払拭するように関東2部リーグからJFLへ特例措置の飛び級昇格、そしてJ2へ。クラブ創設4年目、史上最短のJ昇格だった

▼昨年、ザスパの最高観客動員数は1万3743人。1試合の観客数が多くて500人といわれるJFLの中では桁違いの集客力だ。だが3年前は、観客よりチームスタッフの方が多いという状況だった

▼チーム発足当初、実は町の人々はサッカーアレルギーだったと最近になって耳にした。ワールドカップのキャンプ誘致に失敗し「サッカーはこりごり」という雰囲気があったという。だが草津の湯がじわりと万病に効くように、「超地域密着」が町民に染みわたり、やがて県下全域に広がった。徐々に根付いていった信頼と熱意は、チームをJ2へ導いただけでなく行政も動かした

▼現在、群馬県立陸上競技場では、ピッチサイズや座席などの大規模改修工事が行われている。「群馬にJ規格のスタジアムを」という署名運動や、県との意見交換会などの活動が結実したのだ。「超地域密着」の効力で、草津にホームスタジアムができる日も、実は夢ではないかもしれない。(前・NK)

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