コラム

2005/04/05

博士の愛した数式(水・YH)

2005.04.05 【博士の愛した数式】

▼故・黒沢明映画監督の愛弟子、小泉堯史監督が「雨あがる」「阿弥陀堂だより」に次ぐ第3作目『博士の愛した数式』にクランクインした。過去2作ともホロリと涙を誘う、心に染みわたる作風が印象的だ

▼『博士の愛した数式』は1991年『妊娠カレンダー』で第104回芥川賞を受賞した小川洋子さんの2003年の作。同書は読売文学賞や2004年第1回本屋大賞等を受賞。この本屋大賞は全国160書店の191人を対象に「読んで欲しい本」のナンバー1に上げられた作品

▼母子家庭の家政婦が交通事故で80分の記憶しか持てない数学博士の世話をすることに。一般的には変人の域なのだろうが、博士はこよなく数学を愛する純粋な人。家政婦の息子は頭のてっぺんが平らなので、博士はルート(√)と渾名し、少年の純粋な心を愛する。親子は何時しか博士と心を通わせる。かなり大雑把だが小説はこういった内容だ

▼この小説を映画ではどのように脚本化するかが楽しみだ。キャストは博士役が寺尾聡さん、家政婦に深津絵里さん、ルートは吉岡秀隆さんらが演じる。寺尾さんは前2作でも主演しており、いわば小泉監督のイメージの俳優なのだろう。映画では後に数学教師となったルートが記憶をたどると言ったストーリーになる

▼「自分にできるのは、ほんのちっぽけな事に過ぎない。自分に出来るのならば、他の誰かにだって出来る。博士はいつも、そう心の中でつぶやいている」。この一節は博士の人となりを表すのにドンピシャリ。ヒトとして優れた人は全てに対し謙虚になれるのだろうか。来年には配給される予定だが楽しみである。(水・YH)

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