コラム

2005/04/21

震災メモリアル(新・KK)

2005.04.21 【震災メモリアル】

▼新潟県中越地震から間もなく半年が経過する。記録的な豪雪に見     舞われ、復旧作業が進まなかった山間部では、4月から本格的に工事が再開された。地震の爪跡は大きいが復旧・復興に向けた動きは着実に進んでいる

▼震災の忌まわしい記憶は一刻も早く忘れたいというのが率直な気持ちだろう。その一方で震災の記憶を風化させることなく後世に伝えるため、敢えて実際の被災現場を保存する「震災復興メモリアル」の考え方が提唱されている。災害復旧は原形復旧が原則であるが、今回のような大規模な災害の場合は象徴的な被災箇所を復旧せず、そのままの状態で保存して、できるだけ多くの人に訪れてもらう事が大事だという

▼阪神・淡路大震災のケースでは、地震で湾曲・破損した岸壁をそのまま保存した「神戸港震災メモリアルパーク」が有名。周囲に回廊を設けて見学できるようにし、展示スペースでは神戸港の被災状況や復旧の過程などが紹介されている

▼新潟県が作成した「復興ビジョン」では、大規模崩落地などを震災保存地区に設定し、地元合意箇所から震災メモリアルパーク等として整備する方向性が示された。さらに、パークと既存観光資源を結ぶ道路やサービス施設、景観整備を併せて行い、被災地支援と全国へのアピールを進めるとした

▼如何に復興するかは、被災者が今後の生活再建にどのような夢と希望を持てるかで大きく変わってくる。防災への生きた教材としてメモリアル施設は必要だろう。だが、最も大事なのは、多くの人々が被災地に思いを寄せ、夢や希望を与えること。それが記憶の伝承と防災意識の高揚に繋がるはずだ。(新・KK)

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