コラム

2005/04/28

「貧乏な烏」と言うこと(甲・EO)

2005.04.28 【「貧乏な烏」と言うこと】

▼島根大学の保母武彦副学長が日経夕刊の十字路コーナーで地方の窮状を例示し、「貧乏なからす」ばかりが増える国が、厳しい国際競争に耐え得るだろうかと、我が国の前途を憂い、地域格差の是正を訴えている

▼景気の本格回復に個人消費の増加は欠かせないが、2月の百貨店売り上げ、量販店売り上げともに前年同月を下回り、個人消費が弱めの動きを続けている。配偶者特別控除の縮小、特別減税の廃止などの増税や社会保険料の引き上げが、経済力の脆弱な地方では個人消費をさらに萎縮させている、と分析

▼このため、民間経済力の弱い地方では官公需が景気に与える影響が大きく、その期待が近年、市町村合併を行う自治体だけに認められる合併特例債に集まっていた。平成11年3月末に3232あった全国の市町村が、来年の3月末には約1400も減少し1800になる見通し

▼ところが、地方にとって有利な地方債とはいっても、債務は債務で、借金の3分の1程度は自己財源で償還しなければならない。償還財源の見通しが立たず、合併特例債を満額使えない自治体が多くなっているという

▼「貧乏な烏(からす)は盆にかく乱する」。不運な烏は、墓に供物の多い盂蘭盆(うらぼん)に折り悪く病気になり、それを食べられない例えをとって、地方市町村の窮状を訴えている。ある県の部長が、霞ヶ関で地域格差是正の必要性を言うと笑われるようになったという。中央官庁の認識は、国際競争が激化した今、国内格差を論ずる時代ではないといったところだろう。足元が危ういようでは国際競争を続けることは出来ないのも真理、と主張している。(甲・EO)

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