コラム

2005/05/10

90秒の代償に107人の命(水・YH)

2005.05.10 【90秒の代償に107人の命】

▼107人もの尊い命が奪われてしまった4月25日JR福知山線・兵庫県尼崎市内の脱線事故。90秒の遅れを取り戻そうとスピードをオーバーしたのが原因とも云われる。90秒の代償にしては大きすぎる

▼この90秒の背景に隠されていた多くの問題が露呈した。例えば日本人の時間に対する神経質な認識、JRの体質とりわけ利益優先主義の現実等々。これらが90秒と複合して脱線事故を誘発した。東京山手線の数分毎の運行、上野駅地下4階に展開される新幹線の正確な運行が、実は危険と隣り合わせなのだ

▼過去日本で列車脱線事故で最も死者を多く出したのは1947年2月八高線の東飯能〜高麗川間のブレーキ故障による脱線で187名、1963年11月横浜市鶴見区の横須賀線脱線事故による161名。世界では1917年11月フランスでトンネル内の脱線で550名もの犠牲者を出している

▼事故の度に開発される安全装置。今回も新型のATS(自動列車停止装置)が導入されていたら回避できたと。これは人為的ミスを制御する装置。だが既に国内では、ゆりかもめなど8箇所でATO(自動列車運転装置)により運転手も車掌もいないで運行されている。この方が安全とするなら空恐ろしい話だ。安全機器の開発は当然望ましいことだが、所詮はヒトの手に委ねられる

▼新装置には莫大な費用がかかるから後回しに。比例して安全意識も向上すれば良いのだが現実は反比例。先日、JR上野駅内のみどりの窓口で指定席の変更をお願いしたところ新しい券を投げてよこした。小さな驕り、些細なことだが、こうした体質が改善されない限り事故は無くならない。(水・YH)

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