コラム

2005/05/11

東京一極集中の弊害(甲・EO)

2005.05.11 【東京一極集中の弊害】

▼日本は世界的に珍しい情報発信一源国家。全国への情報発信は出版もテレビも東京だけ。出版物を小売り書店に取り次ぐ日販、トーハンなどの取り次店を東京に集中させたので、地方の出版物も全て東京に運ぶ

▼テレビも世界的に珍しいキー局システムである。全国番組編成権が東京のキー局に握られ、番組もほとんど東京で製作されているため、地方製作番組もキー局の好みに合わせて造る。地方新聞も共同通信などの東京発信の記事が増えている

▼交通通信が便利になれば、地方の経済も文化も栄えると言われ、欧米諸国では共通して特色ある地方の文化や経済が花開いてきた。ところが日本だけは、新幹線や高速道路網のほか、ファックス、インターネットなど情報技術が進んでいるのに、東京一極集中が進行。IT関係の若い事業家や技術者も大挙して東京に移住。作家や評論家も港区を中心とした半径10キロメートルに集中しているという徹底振り

▼こうした現象は日本独自のもので、「建前と本音」が別の所にあるのが原因。とにかく直接合って話しを聞かなければ本当のことが分からない、という社会だから真の実力者である官僚機構にすり寄る必要がある。民間同士の事業でも酒肴を交えた社交を積み上げなければ本音には至らない。こうした状況が、東京一極集中を加速させている

▼しかし、これでは情報の収集と意志の決定に時間と費用がかかるばかりか、情報自体が不正確で不公正になる。こうしたダブルスタンダードは、既に世界が相手にしなくなっている。中国や韓国などの怒りを買い、グローバル化に乗り遅れてしまった要因となった。(甲・EO)

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