コラム

2005/05/12

車中の「自由」論争(さ・HS)

2005.05.12 【車中の「自由」論争】

▼「すみません、この席にはどなたか来るんですか」。朝の通勤新幹線の車中、少し怒りのこもった言葉が、静まり返っている車中に響き渡った

▼隣の3列シートの窓側に座っていた男性が通路側の女性に投げかけた質問。どうやら満席のために立っている人がいるにもかかわらず真ん中の座席に女性が手荷物を置いているのに業を煮やしたらしい

▼「…」。再度「私の質問に応えてくれませんか」と男性が質すと女性は「次の駅で降りますから」というチグハグな返答で、男性は「あなたのロジックは通用しませんよ。荷物は自分で持つか網棚の上にあげてください。でなければ指定席に行って2つ分とってください」と詰め寄った

▼すると女性は「ここは自由席ですよ。別に構わないんじゃないんですか」と無茶苦茶な論理で応戦。男性は怒りをあらわに「あなた、小中学校出てるんですか。自由席だからルールを守らなければならないんでしょう」と再応戦するも、女性はこのあと男性の再三の忠告にも耳を貸さず無視を決めこんだ

▼しかし、この論戦には予期せぬ出来事が待っていた。普段通ることのない車掌が、たまたまこの場を通り過ぎようとしたのである。すかさず男性が「すいません。ここに不審物があります。撤去してください」と車掌に訴えた。これにはたまらず女性も自分の手荷物であることを車掌に告げ、自分の膝の上に置いたのである

▼「自由」=他からの強制・束縛・支配を受けないで、思いのまま、心のままに行動すること(集英社・国語辞典より)とあるが、そのとらえ方にも千差万別あることを痛感した。(さ・HS)

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