コラム

2005/05/14

喫煙者に居場所なし(松・JI)

2005.05.14 【喫煙者に居場所なし】

▼先日、特急列車の喫煙車両に乗り込んですぐにタバコを吸い始めたところ、通路をはさんだ向こうから若い女性の集団に睨まれてしまった。どうやら彼女たちは禁煙車両が満員のため仕方なくこちらに来たようだ。ここでも肩身の狭い思いをした

▼厚生労働省が発表した「平成15年国民健康・栄養調査結果」によれば、習慣的に喫煙している者は男性で46%、女性で11%だという。このうち半数は禁煙を試したことがあるとのこと。さらに本数を減らしたいと考えている人は7割にも上る。その一方で男性の4人に1人、女性の5人に1人は「やめたくない」と答えている。まさに嗜好品としてのタバコが好きな人たちであろう

▼「Go smoking」という喫煙愛好者のコミュニティサイトで、作家の筒井康隆氏が1箇月に1度特別寄稿している。その第1回目のエッセイでは、文学とタバコとの命運の近似性を指摘。「文学が読書離れで読まれなくなり、煙草が嫌煙権運動で存続が危ぶまれている現在、それらに関わる者がなすべきことは、それぞれの文化としての伝統を残すこと」と書いている。喫煙の伝統が将来まで続くか否や、すでに居場所がないのが現状である

▼某公共施設では、昼休みになると片手にタバコを持った職員が道路にずらりと並ぶ。敷地内全面禁煙のためだが、初めて目の当たりにする人はその異様な光景に必ず驚く。彼らもまた、居場所を失った者たちである

▼ある知人は楽器購入と引き換えに禁煙した。その額はタバコ3年分の約30万円。なるほど煙よりも趣味に投資する方が確かに健康的だ。理屈は理解できるのだが。(松・JI)

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