コラム

2005/06/15

水平分業から工程分業(甲・EO)

2005.06.15 【水平分業から工程分業】

▼21世紀に入って数年で世界は大きく変わった、と指摘するのが元通産官僚出身の堺屋太一氏。世界経済は、植民地支配の垂直分業から、第2次世界大戦後の水平分業に変わり、それが今世紀からは工程分業の世界になったというのだ

▼水平分業とは、工業国同士で工業製品を相互に取り引きする世界。規格大量生産の効果を拡大しつつ、消費市場の多様性にも応じることが出来た。この理論を最初に提唱したのが同氏で、それだけに日本はいち早くこれを実行。自動車や電気製品を規格大量生産してアメリカなどの工業国に輸出することで大成長を成し遂げてきた

▼一方、水平分業に乗り遅れた国は、イギリスのような先進工業国でも後退。ところが、今世紀になって世界経済のグローバル化が進み工程分業が一気に進んだ。自動車やコンピュータの生産は、研究開発、デザイン創作、製品製造、製品組立、宣伝広告戦略、情報処理、金融調達など、工程別に各国各地域が分担して行うことが多くなった

▼先進国には、知的工程を中核とした分厚いサービス業の群が生まれるし、発展途上国には多くの新工場群が建設される。グローバ化した企業にとっては、各工程を世界の中での最適地に配置することで、より安価に、より適切な開発と製造と流通が実現できる

▼我が国は、義務教育を始め、税金、年金、医療、高速道路までもが相変わらず水平分業の規格大量生産型を踏まえた制度が続いている。このままでは世界の流れから取り残されてしまう。我が国が今後とも繁栄を保ち続けるためには、工程分業における知的労働集約工程を呼べる国への変革が求められる。(甲・EO)

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