コラム

2005/06/17

景観法で見直す生活風景(水・TY)

2005.063.17 【景観法で見直す生活風景】

▼昨年12月に景観法を含む景観緑三法」が施行された。我が国初の景観に関する総合的な法律。これまでの自主条例に加え、強制力を持った多様な仕組みを創設することで、地方自治体の取り組みを法的にバックアップする

▼具体的には、景観計画に基づき、建物の高さ、デザイン、色などを規制することができるようになったほか、より規制の厳しい「景観地区」も指定できる。周辺環境に馴染まぬ建築物も、建築基準法や都市計画法上で問題がなければ規制することは困難だったが、今後は市町村長の認定を受けなければならず、違反者は刑罰の対象となる

▼話は代わるが、東京都の一画に江戸の街並みが今もそのまま残っていたらさぞかし趣のある情緒と意匠を楽しめたかもしれない。世界中にはひとつの町に旧市街と新市街があって、文化を残す古い街とモダンな街が融合し、調和しながら、巧く人びとの暮らしに影響を与え続けている成熟した場所もある

▼こと景観の話になると未熟さを覆い隠せない日本。全国的にも未だに電線が多く、目を惹くビルも、その建物だけを見れば確かに美しいものも多いが、周辺とのバランスにセンスを欠く。田舎や山村でも古びた看板の放置、沿道の派手な商業施設、閉鎖したガソリンスタンドやパチンコ店の残骸にがっかりさせられる

▼その国の歴史やものの考え方を集約したライフスタイルが街の姿を育む。地域に住むひとや企業が協調することで、豊かな景観を造り出したい。往々にして景観を活かすか否かは地方自治体の自主性に委ねられてきた。知恵を結集するためにも、街に係わり続ける業界からの声を広げたい。(水・TY)

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