コラム

2005/06/29

知識を継承する子供達(前・HM)

2005.06.29 【知識を継承する子供達】

▼「今日はどこに行く?」、「昨日は『信号』に行ったから、今日は『一本橋』を回ってみよう」。これは、筆者が子供の頃、夏休みになると毎日のように幼なじみ達と交わしていた会話だ。「信号」「一本橋」―これはカブトムシやクワガタがよく採れる場所を指し、子供達の間だけで通じる呼び方である

▼先日、虫や植物に直に触れる事が出来るという施設を取材した。その時聞いた話では、最近は子供達が外で遊ぶ事が著しく少なくなっているという。これは理科離れの要因にもなっており大きな問題だ

▼その原因の1つに親の教育が挙げられるそうだ。「自然は危ない」と教える親が多く、結果子供達も「自然は怖い」と思うようになってしまうという。確かに野山へ出れば蛇もいれば蜂もいる。川へ入れば流れが速いところもある。危ないといえば確かに危ない

▼筆者の子供時代を振り返る。カブトムシを採りに行くときはいつも夜。小学校低学年の頃から懐中電灯片手に歩き回っていた。しかし、親は行くなとは言わなかった。おそらく年上の幼馴染が一緒だったからだろう。そういえば、川の中の危ない場所など、遊び仲間から教えてもらった事は多い。子供達はそうやって知識を継承し続けている

▼子供を過保護にするあまり、外で遊ばせなければ、この継承は止まってしまう。そうなれば自然は余計に恐く危ない場所になってしまう。しかし、自然の中で遊ぶ楽しさを知らないで育つのは可哀想であり、やはり情緒教育等からも大いに問題である。子供達の中で生き続ける「自然との触れ合い」とする遊びの環境は決して途絶えさせてはならない。(前・HM)

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