コラム

2005/07/01

宇治の神社とラブロマン(本・MM)

2005.07.01 【宇治の神社とラブロマン】

▼京都の知人を訪ね、ご無沙汰をわびながら酒を飲み交わした。翌朝、宇治に平等院鳳凰堂を訪ねた。極楽浄土を願った平安人が宇治川沿いの風光明媚な景勝地に浄土を再現(1053年落成)したもので、高校生の旅行者で賑わっていた。宇治上神社もお参りした

▼伝説の霊長鳳凰堂をかたどった平等院は、藤原絶頂期の藤原道長の別荘地を、子の関白頼道が譲り受け、寺に改修したもので、10円玉のデザインに採用されている。宇治上神社は、神社建築では日本最古の本殿を持ち、平等院と一緒に世界遺産に登録された

▼宇治には大昔から橋姫伝説もある。夫に愛人ができた、嫉妬深い橋姫が、愛人と夫をともに呪い殺したと伝えられている。平等院北側の橋姫神社に祀られ、今では縁切り神社として知られている。ただ、平等院南側には縁結びの県(あがた)神社もあり、若い女性の心をとらえ、参拝客は絶えることがないらしい

▼さらに宇治は、世界文学の名作『源氏物語』「宇治十帖(じゅうじょう)」の恋愛の地でもある。源氏物語は、光源氏を主役とした正編と、子供と孫が主人公となる宇治十帖の続編からなる世界最古のラブロマンスといわれる

▼源氏の子供「薫」と外孫の「匂宮」(におうみや)男2人との恋の板挟みとなった浮舟は、出家して尼となったが、匂宮と付き合い始めたころ、男女の睦み会う絵を描いた匂宮から、「いつもこうしていたいね」と囁かれた場面がある。ラブロマンスといえば聞こえは良いが、源氏物語は性愛文学の最高位のほうがふさわしい。そういえば宇治川の畔に、寄添う匂宮と浮舟のロマン碑も見えた。(本社・MM)

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