コラム

2005/07/16

「涼しさ」の効用(甲K・Y)

2005.07.16 【「涼しさ」の効用】

▼今年も我が家の軒先に南部鉄製の風鈴の音色が響いている。風の流れにあわせて自由な間隔で鳴る澄んだ音色は、寝苦しい夏の夜にひとときの涼を与えてくれる

▼この風鈴の起源は2000年以上前の中国・唐の時代に吉凶の占いに用いられた占風鐸(せんふうたく)にあるとされる。日本には仏教建築とともに伝わり、仏堂の四隅に吊り下げられ厄除けとして使われた。この風鐸が、涼をもたらす道具として使われるようになったのは室町時代になってからのことといわれる

▼「涼しさ」とは、精神的な感覚によるものである。たとえば、温度が低く冷ややかに感じるものばかりではなく、夏場に縁側で飲む熱いお茶や、夕涼みの線香花火、川縁の蛍なども涼しさを誘うものだ。四季の移ろいに密着し生活してきた日本人はこのような敏感な感覚を持ち、様々な工夫により涼や暖を得てきた

▼温室効果ガス削減の目的で環境省が提唱する夏のノーネクタイ・ノー上着ファッション「COOL ・BIZ(クール・ビズ)」の取り組みが今年6月からスタートした。軽装化により28℃の冷房でも涼しく効率的に働くことが出来るようにするという試み。TPOで取り組みを振り分けるといった難しい部分もあるが、小泉総理らも率先して活用。これによって一種の経済波及効果も生んでいる

▼体感的な涼しさに加え、全ての事業所等において、夏の冷房の設定温度を26・2℃から28℃に1・8℃上げるとすると、ひと夏で約160〜290万tの二酸化炭素を削減できるという。こういった機会を通して「精神的」な涼を高める工夫を今一度見つめ直してみたいもの。(甲K・Y)

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