コラム

2005/07/21

国債は誰が買う(甲・EO)

2005.07.21 【国債は誰が買う】

▼財務省は、国債や借入金などを合わせた国の借金(債務)残高が、昨年度末で781兆5517億円になったと発表した。税収不足を補うための国債の大量発行が続いたことなどから、前年度末よりも11・2%(78兆4038億円)増え、過去最悪を更新した。このうち、国債残高は前年度末比12・6%増の626兆3633億円で、借金全体の8割を占める

▼日本国債10年物利回りは、平成15年に0・4%まで低下、最近では1・2%あたりの水準まで戻しているが、いずれにしても歴史的な超低金利だ。毎年、財政赤字で、累積債務も巨額で、破綻してしまうかも知れない日本。米国系の格付け会社は日本の国債をアフリカのボツアナ以下に格付けしている

▼そんな日本の国債を、一体誰が買っているのだろうか。実は、日本国民全員で国債を買っているのだ。日本国債の大半は、郵便貯金、簡易保険、年金基金などの超巨大投資家により保有されている。大事な貯金や、毎月積み立てている年金は、知らない間にどんどん日本国債購入に割り当てられている

▼銀行などの金融機関も大量に国債を購入している。銀行は、民間企業に対しては「貸し渋り」や「貸し剥がし」を行い、その結果余ってしまったお金は、最も低リスクで頭を使う必要のない国債に向かったという仕組み

▼こんな理由で日本国債は買われ続けている。しかし、景気が本格回復すれば株等の価格が上昇し、国債を買う者などいなくなってしまう。そうすればあっという間に国債が暴落、国債金利上昇に耐えられず国自身が破滅に向かう。景気回復を最も恐れているのは、実は政府自身なのである。(甲・EO)

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