コラム

2005/07/27

幸福条件になる良いトイレ(前・NK)

2005.07.27 【幸福条件になる良いトイレ】

▼臭い、汚い、暗い−かつて3Kだった小中学校のトイレが、清潔で開放的な明るい空間に次々と変化している。いじめや非行の温床になりがちな「校舎の死角」から脱却させようという狙いもあるようだ

▼改修工事にはもっと深刻な理由もある。和式便器で用をたせない子どもの増加だ。小学校の用務員をしている知人は「気持ちの面ももちろんだが、しゃがんでも踏ん張れなくて尻もちをついてしまう。床に片膝をついて、どうにか用を足している子もいる」と話す

▼新潟県中越地震で災害対策本部による避難所実態調査では、食事、暖房、プライバシー確保などと並んで、トイレへの要望が多かった。特に年配の被災者から洋式トイレの不足、また便座が冷たいなどの指摘があり、洋式ポータブルトイレの増設、便座カバーをつけるなど対策がとられた

▼今や一般住宅の90%以上が洋式便器を設置、さらに温水洗浄便座の普及率は59・7%にまで達している。一方、駅や公共施設では、女性が和式を好むこともあり和洋併設が増えつつあるようだ。日本トイレ協会ではより良い公共トイレ普及のため、表彰制度を設けるなどしているが、まだ要望を広く満たすトイレは少ない

▼お年寄りや障害者にとって、使いやすいトイレが外出するうえでの必須条件。幼児のいる親や妊婦も同様だ。全国各地で中心市街地再生への取り組みがなされている。機能的で清潔な、思わず使ってみたくなるトイレ建設を盛り込んで欲しい。「良いトイレ」のあるノーマライゼーションの街には、きっと徐々に人が集うようになる。活気ある超・高齢社会を実現するためにも是非検討を願いたいもの。(前・NK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら