コラム

2005/08/31

2007年問題の危機(水・TY)

2005.08.31 【2007年問題の危機】

▼団塊の世代が一斉に定年退職を迎える「2007年問題」が危機感を増している。労働市場の雇用機会の減少で職を得る機会を奪われていた若者たちには好機となるが、高度成長期を支えてきた世代の引退で、熟練した技能の継承がうまく進んでいない

▼こうした心配は都道府県や区市町村などの役場などでも顕著だ。昔は内部直営で都市計画や道路、橋梁の図面を引いていたが、今はほぼ全ての作業が外部への委託となるため技術を培う機会がない。これに輪をかけて官制談合防止法の施行や、年を追うごとに拡大する電子入札の取り組みで、官庁と業者との係わりは益々減ってゆく

▼終戦後、出産適齢期の人々が大量に復員、戦地から引き揚げた。ベビーブームの到来で、1947年から1949年までの3年間、毎年270万人が誕生した。団塊の世代はその後、高度成長を支える役割を担った。高速道路やダム、空港、鉄道建設等々。海外から技術を学び、新幹線を始めとする高度な技術開発などにも活かされた

▼特に鉄道の建設は技術の「宝庫」だ。トンネル、橋梁、駅舎建築とあらゆる構造物の技術が求められるため、そうした中で多くの人から技術を習得するよい機会となった。それこそ突貫工事で仕上がった数多くの現場が我々の社会活動を支えている

▼建設業界では、常に技術の向上と若者の育成が課題である。技術は短期間に教えられ、身に付くものではない。数量計算も今ではパソコンを使い自動だが、それだけでは勘が育たない。勘はいい加減さを表す言葉ではない。勘を身につけ活かすことができる人だけが持つ技を熟練というのだが。(水・TY)

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