コラム

2005/08/05

避難勧告の重要性(新・KK)

2005.08.05 【避難勧告の重要性】

▼昨年7月の梅雨前線豪雨により、新潟県中越地方を中心に甚大な被害を及ぼした「7・13水害」から1年が経過。国や県では破堤した五十嵐川や刈谷田川、本川の信濃川等で災害復旧工事を全力で進めているが、河川改修に伴う住戸移転の問題など復旧・復興に向けた課題は多い

▼「堤防が決壊するとは思っていなかった」。被災者を対象に実施したアンケート調査ではこの感想が多く見受けられた。各地で避難勧告は出たが、情報が上手く伝わらなかったり、避難するまでもないという判断もあって、残念ながら犠牲者が出てしまった

▼昨年、新潟県では地震と水害という2度の大規模災害に見舞われたが地震と水害では避難対策が根本的に異なる。地震は一旦起きてしまうと対処のしようがないが、水害は大雨が降り始めてから避難するまで時間的余裕がある。ただし、大切な家を諦め、避難をするという覚悟は簡単に出来るものではない

▼被災者のアンケート調査を実施した群馬大学の片田敏孝教授は、先日新潟市で開催された防災フォーラムで「避難しない人というのは、避難しないという決断が出来ている訳ではない。自分の行動を正当化する理由を探してしまうもの」と語った。裏を返せば周りが逃げれば自分も逃げる、と

▼かつて避難勧告を経験したことがある。その時は津波の恐れがあるとのことだったが、家族や近所の人達は誰も避難しなかった。結果として津波は発生しなかったが、それは単に運が良かっただけの話でしかない。今後、為政者の重大な決断である避難勧告が出た場合、早急に避難する覚悟は出来ている。無論、避難勧告など出ない事を願っているが。(新・KK)

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