コラム

2005/08/09

最優先3兆円の投資(水・YH)

2005.08.09 【最優先3兆円の投資】

▼オオカミ少年ではないが「来るぞ、来るぞ」と長い間言われている大型地震。震度5で首都東京の交通機関がパニック状態になって「もしや?」と思ったのは一時だけ。予知が困難なだけに、備えは充分に必要だ

▼いざ、地震発生となった時、避難場所として指定されているのが小中学校。この学校の耐震化が遅れていると叫ばれて久しい。文科省調査によれば全国の公立小中学校の校舎や体育館など13万853棟のうち耐震性のある建物は51・8%(6万7752棟)だけ。「遅れている」という印象は免れない

▼1981年(昭和56年)の建築基準法改正で耐震基準は震度5程度から震度6、7程度でも倒壊しないとする目標を設置。しかし現実的には耐震性があると確認されたのは、たかが15・7%(2万562棟)に過ぎない。残念な結果だが、48・2%、6万3101棟は「不可」ないし「未確認」という内容だ

▼都道府県別に耐震化状況を見ると、東海地震が危惧されている地域で神奈川県が80・6%で第1位、静岡県77・5%第2位と高い。逆に整備率が低いのは香川県31・2%、長崎県34・3%、徳島県36・6%。地震の発生率や予知が薄い地域でも沖縄県66・9%第6位、大分県62・5%第8位などと進んでいる。要は政策の問題

▼市民の安全を確保するのは政治や行政の最優先施策であろう。そのため今後、特に危険度の高い施設について、約3兆円の工費をかけ10年間で90%まで耐震化を図るという。だが肝心要の財源が無い。そこで改築から改修への転換を図るなど計画はスムーズなのだが。逃げ込んだ先が被災しては元も子もない。(水・YH)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら