コラム

2005/08/10

縁の下の舞を踊る(甲・KY)

2005.08.10 【縁の下の舞を踊る】

▼今年も夏の高校野球のシーズンがやってきた。グラウンドで懸命に白球を追う高校球児の姿に、日々鍛錬の道程を想像する。試合に出て活躍する選手が注目されるのは勿論、控え選手やマネージャーなどチームを支える部員にスポットがあたる機会も多い

▼目立たないが、大切な仕事をしている人のことを称える言葉として用いられるのが「縁の下の力持ち」。辞書を引くと「人に知れずに、陰で努力・苦労していること。また、その人」(広辞苑)とある

▼今から約1400年前に聖徳太子が建立したといわれる、大阪市天王寺区の四天王寺。「縁の下の力持ち」という言葉は、この寺にある太子殿の庭先で、お経の供養として行われた「縁の下の舞」がはじまりとされる。舞楽などの際に、堂上の貴人や観客には見えない場所で一生懸命踊っても見てもらえないことを意味する「垣下(えんが)の舞」がいつしか「縁の下の舞」に変わり伝えられたといわれている

▼本来は、甲斐のない無駄な努力という意で使われていたそうで、その後人知れず努力するからこそ尊いとする捉え方に変化していったとされる。華やかに活躍する人も、当然影ながら苦労・努力をしているだろうから、その努力が日の目を見るかどうかが分かれめとなるようだ

▼建設業界団体のある会合での話。例えば地震による土砂崩れの現場では、人命を救出するレスキュー隊などの救援活動が報じられる一方で、その現場に向かうための道路などの復旧に携わる建設業の活躍はなかなか一般に伝わらないと訴える。望んで「縁の下の舞」を踊っているわけではないが、必ず報われる時が来る。(甲・KY)

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