コラム

2005/08/17

2007年問題の行方(さ・NH)

2005.08.17 【2007年問題の行方】

▼昭和22年から24年の間に生まれた『団塊の世代』が、再来年から60歳に達し、大量の定年退職者が出ることになる。年金支給開始年齢が段階的に引き上げられる中、企業と労働者の双方に定年対策の決断が求められている

▼今年の「ものづくり白書」によると、団塊の世代は約670万人に上り、ベテラン社員の定年が集中する。多くの製造業は、技能の伝承などに危機意識を感じており、意欲ある若年や中堅層の確保も難しいことから、団塊世代の雇用を延長して、指導者として活用するケースが多い、と指摘している

▼昨年、国は「高年齢者雇用安定法」を改正し、来年4月までに、?65歳までの段階的定年延長?継続雇用制度の導入?定年廃止−のいずれかの対策を採るように義務づけている。このうち、継続雇用制度については、原則的に希望者全員が対象だが、企業の裁量(希望者全員を雇わなくてよい)が認められている

▼このような中、すでに官庁等では再任用制度を導入しているが、再雇用されても給料が現役時代の2分の1、3分の1に減ってしまい、昨日までの部下が上司になることに抵抗を感じ、退職の道を選択する人が少なくない。先日、取材先で団塊世代の管理職に、定年後の目標を訊ねたところ、趣味と実益を兼ねて、果樹園を営むプランを楽しそうに話してくれた

▼健康で金銭的な余裕があれば、好きな事もできようが、年金支給額が年々減り、大半の人は老後の心配をしている。現在、わが国の90歳以上の人口が100万人を突破したが、将来、安心して定年が迎えられるよう、しっかりとした雇用政策を講じてもらいたいものだ。(さ・NH)

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