コラム

2005/09/02

結婚についての思い出(前・N)

2005.09.02 【結婚についての思い出】

▼学生時代の同級生が結婚するという知らせ。40歳を超えており、「もうその気はないのだろう」と勝手に決めつけていたので驚いた。さっそく祝いの電話を入れると「今月、先方の家に挨拶に行く」という。その日の事を想像してしまった様だ。声がうわずって、緊張している様子が伝わってくる

▼筆者が同じ体験をしたのは、もう10年以上も前の事だがその時のハラハラ、ドキドキ感は明確に記憶に残っている。仕事帰りの夕刻に相手の家を訪問。他県へ嫁いだ義姉までがそのために帰省していたのには、相当プレッシャーを感じた

▼ぎこちない会話が続き、なかなか進まない時間を恨んだ。やがて、飲めないビールを勧められるままノドに流し込んでいくうちに、緊張感から解きほぐされ饒舌になっていった。苦痛な時間は、楽しいひとときに変わったが、最初から長居をしては失礼と2時間程度で退座し、帰りは彼女の車で送ってもらった

▼それなりに会話も弾んだし好印象を与えたものと自己評価し、隣の運転手に話しかけてみた。すると、「何しにきたの?」とトゲのある口調を投げかけられ、我に返り愕然とした。結婚の許しを求めに伺ったはずが、すっかり忘れてしまった事に気づいた

▼そのことを、笑い話として知人に話し、そんな過去もあったが今ではテレビのチャンネルも勝手に変えてしまうほど図々しくなった現状を話してやった。この移り変わりを回想してみると、改めて静かに流れゆく時間の不思議さを感じた。日本経済の基幹産業である建設業の厳しい状況も、せめて知らず知らずにでもいいから、良い方向に流れて欲しいものである。(前・N)

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