コラム

2005/09/10

生き甲斐ってな〜に(下)(本・MM)

2005.09.10 【生き甲斐ってな〜に・下】

▼ある本に出ていた話である。赤道直下のパプアニューギニアは、タイプライターなど様々な職業に必要な技術を、無料で教える訓練学校を首都につくって訓練生を送り出している。ところが、卒業した訓練生は、ほとんど首都に残らず、ジャングルに帰ってしまうのだそうだ

▼理由が心憎い。「ジャングルでは、起きたいときに起き、寝たいときに寝られる。おなかが空いたら、空いたときにご飯を食べる。自分のやりたいことだけを自由にできる。何をすき好んで、決められた時間に起きて、出勤しなければならないのか。昼寝もできないし、やりたくないことをやらされる」と

▼日本では、勤務先の倒産やリストラなどで、国民健康保険料が払えずに、給与などの差し押さえ処分になった世帯は平成14年度で5万1512世帯に及んでいる。また、医者に緊急入院を勧められても医療費がかかるので、応急手当だけで帰宅する患者も増えていると聞く。一方で、中小企業の社長の自殺者もここ5年間は3万人台で推移している

▼サラリーマンも過労死や躁鬱病者が後を絶たない。超満員の通勤電車で通う都市のサラリーマンは、時間に縛られ、上司に逆らえず、賃金も幹部に一方的に決められ、飲み会も断れず、家族サービスもままならない。まるで、かつての奴隷よりも非人間的に見える昨今の社会現象

▼お金のためだけに働くことが、いかに大変かが分かる。逆に、便利で、きれいな部屋に住んで、安定した給与をもらう生活に何の魅力も感じないのが、パプアニューギニアの人たちだ。どちらで生きても人間、一生は一生である。是非は問えまい。(本・MM)

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