コラム

2005/09/21

建設業の職場環境(前・HM)

2005.09.21 【建設業の職場環境】

▼先日、学生の頃にお世話になった先生が教授になられたので、OBでお祝い会を開催、久しぶりに大学時代の友人や先輩達と会った。筆者は工学部出身なのでOBの中には、やはり建設業界に身を置く人が多い。同期の友人の1人、学生の頃と比べて大分痩せていた

▼話を聞くと、仕事が相当に忙しいらしい。今は一段落ついたと言っていたが、数か月前までは、それこそ寝る時間も満足になく、もちろんほとんど休日もなかったと言う。寝不足が続く中での仕事がたたったのか、大きなミスをしてしまった。金額的には数億円の損失にもなりかねないミスに背筋が凍った。そのミスをリカバーするために、さらに寝ずの仕事が続いた

▼その頃、彼の義父が亡くなった。建設業を営んでいた義父は仕事がない事を悩んでいたと言う。自殺だった。心身ともに疲れ切っていた友人の精神状態は、もはや正常ではなかった。電車を見ると吸い寄せられそうになることもあったという。しかし、突然父を亡くし、憔悴している自分の妻を見ると、死ぬわけにはいかないと踏みとどまった

▼労働環境が厳しいと言われる建設業。筆者も以前、工事現場で働いていたから、その現状は知っている。その頃、職場の上司に「忙しすぎて寝る時間がない」と話すと、「そういう仕事だから仕方がない」と言われた。その言葉に問題意識は感じられない

▼その友人は現在、転職も考えているという。建設業が真に魅力ある業界となるためには、厳しい職場環境の改善が求められる。意外と後回しにされる傾向だ。しかし、本気で取り掛からなければいけない現実的な問題であろう。(前・HM)

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