コラム

2005/10/07

日建経の講演会を聞く(本・SY)

2005.10.07 【日建経の講演会を聞く】

▼「これは単なる道路法案ではなく、安全法案でもある」。今年8月に米国の新交通最適化法が成立した。2009年度まで30兆円余の予算が全米の道路整備計画のために投入される。冒頭の言葉は同法成立に伴うブッシュ大統領の署名演説である

▼この計画は単に道路整備延長を伸ばす計画ではなく、「交通安全徹底重視」の道路整備計画である。米国では毎年4万人にものぼる生命が交通事故で失われている。この貴い生命の喪失を一挙に数分の1に減らそうというものである。同法に「最適化」という言葉があるので、数学など現代科学の総力を結集したものであることが推測できる

▼以上の話は日本建設業経営協会の「公共事業をめぐる最近の話題」と題する講演会で聞いた。道路整備に力を入れているのは米国だけではないようだ。同講演の資料によると、ドイツの高速道路ネットワークは正に「網の目」で、北から南まで地方格差はまったくない。そのドイツの地図の横に日本の高速道路ネットワーク全図が出ている。非常にまばらである

▼米国やドイツなどヨーロッパ諸国は高速道路ネットワークをほぼ完了し、これからは道路の品質向上、すなわち「道路交通の安全性の確保」に力を入れている。21世紀の次世代道路は「安全」が最大のテーマだ

▼高速道路、在来道路ともに未整備箇所が多く、車と歩行者が同一平面で交差し過ぎる日本の道路。昨年の交通事故死傷者120万人。国民の1%が事故に遭遇している計算。「道路整備は終わっていない。やるべきことがたくさんある」。スクリーンに映し出された日本地図がそう叫んでいるように見えた。(本・SY)

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