コラム

2005/10/19

息子が家を去るとき(本・MM)

2005.10.19 【息子が家を去るとき】

▼秋が深まりつつある。色づく紅葉を見たさに外出する人は多いだろう。ところが、目的なしに出っぱなしの人が実に多いようだ。大人の家出が増加し、5年連続7万人を超えたというから尋常ではない。平成16年度版警察白書によれば、10年前の3割増。減少傾向の未成年者の家出とは対照的

▼「仕事や家庭の悩みに耐え切れず現状の暮らしから逃げようとする点は、自殺者も家出人も同じ」と見る専門家が多いが、景気回復を図る政治家の責任は大きい。また、世の奥様方が「結婚する前は『貴方の為なら』と思っていたのに、結婚も25年経つと『あんたの為に…なんで私が』と思ってしまうのは、どうしてか」。不景気でリストラされた男性は温かい言葉を欲しているのである

▼江戸幕府を開府した徳川家康は「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し」の遺訓を残した。「人生は重い荷物を背負い、遠い道のりを歩き続けるようなもの」だ。だから「人生は努力、忍耐が不可欠である」ということを教えたかったのかもしれない。家出を思い立つ人は、この言葉を胸に踏みとどまってほしい

▼家出人とは、あくまで捜索願いが出されている人が対象で、警察庁によると、捜査願いが出されていない家出の件数はこの数字の3〜5倍にのぼるという。家出の原因は10歳未満の8割が家庭関係、10歳〜19歳の場合は家庭、学業、異性に原因。大人の家出理由は、家庭、就業、疾病が定番だ

▼実は筆者の長男も「一人暮らしがしたい」と持ち掛けてきた。「目的なしの出っぱなし」でなければよいのだが。いっぱしの大人になったから、それなりに心配である。(本・MM)

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