コラム

2005/11/11

イタリアの底力(水・KK)

2005.11.11 【イタリアの底力】

▼イタリアは、1990年代初頭に国家として破綻寸前だった。巨額の財政赤字で、国債の格付けは先進国中最下位だった。しかし、その後、イタリア経済は見事に復活。ムーディーズの国債格付けも今や日本のA2より3ランクも上のAa2の評価である

▼イタリアの国際競争力はモノづくりの底力だ。イタリアには自動車、ファッション、パスタ料理など、値段が高かろうが、景気が悪かろうが、人々の購買欲をかきたてる魅力的な商品があふれている。注目すべきはイタリアでは企業の97・5%が中小企業だという点である

▼イタリアの経済復興は地方の中小都市が担った。イタリアには昔から小さいながら創造性に富んだ個性的な企業が育ちやすい規模の人口数1000人〜数万人の町がキラ星のように国土全体にちりばめられていた。農村地帯のヴェネト州から生まれたファッション界の世界的企業・ベネトンなどは好例だろう

▼日本人がイタリアに抱くイメージからは意外な気がするが、イタリアの生産性は日本の2倍以上だそうだ。イタリアでは、経営陣は大枠の方針以外は現場に権限を委譲する。会議も企画書、資料作りもほとんどない。社員は自分の仕事に時間と労力そして持てる感性の全てを注ぎ込む

▼景気は順調に回復しているーとの報道にどれほどの日本人が個人として実感しているだろうか。イタリアはGDPでは日本を下回っていても、陽気でゆったりとした生活の仕方、その生活の質的中味では、明らかに日本の先を行く「生活大国」と評する識者は多い。イタリアの底力は製造立国であることだ。かつての日本がそうであったように。(水・KK)

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