コラム

2005/12/20

映画「ALWAYS三丁目の夕日」(水・YH)

2005.12.20 【映画「ALWAYS三丁目の夕日」】

▼文字通り猫の額のような庭。こんな小さな空間でも年によって紅葉や満点星(どうだんつつじ)の色付きが違い、折々の楽しみを与えてくれる。今年は既に散ったが2メートルほどの紅葉が見事に色付いた。ささやかな感動である

▼趣向の世界なので選択肢は多い。しかし感動を、忘れかけていた映画の世界で意外と感じる事が多い昨今だ。日本では近年、映画を見るのは平均年間2本程度と減少が続いている。そういった中で、高齢者の観客が目立ち、大いに結構な現象だと大いに喜んでいる

▼愛読漫画週刊誌・ビッグコミックオリジナルに連載されていた西岸良平作「三丁目の夕日」が「ALWAYS三丁目の夕日」と題し映画化されたというので密かに必見としていた。その念願かなって大いに泣いた。舞台は昭和33年東京の下町。長島茂雄野球選手の巨人軍入団、東京タワーの完成、プロレスラー力道山が国民的英雄だった頃だ

▼おしなべて日本的「情」が基本だから、相応の年齢層には自らの過去に合致する。確かに古き良き時代を忍ぶ懐古主義と言われそうだが、なんの恥じることはない。物には恵まれなかったが、暖かい母親、厳しかった父親がいた。知らない小父さん、小母さんが自然に生活に絡んでいた

▼子供達はカバンを投げ出して「ただいま〜遊びに行ってきまーす」は慣用句だ。親も子も安心してそれぞれが一生懸命仕事に勤しんだ。お金持ちの家にだけあったTVの前には隣近所の人が集まり、一緒に楽しんだ。暖かい時代を描いた映画だ。現代の冷たい心の隙間に染みこんで暖かい涙を誘う。夕日も心も暖めてくれるから空を仰いで見るのも。(水・YH)

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