コラム

2005/12/22

予定価格上限拘束性の行方(本・UT)

2005.12.22 【予定価格上限拘束性の行方】

▼「発注者は、高度な技術又は優れた工夫を含む技術提案を求めたときは、当該技術提案の審査の結果を踏まえて、予定価格を定めることができる」。4月に施行された、公共工事品確法第14条の一文。同法の中でも、予定価格のあり方を考えるという観点から、関係者の注目度が高い

▼国土交通省はこの14条について現在のところ、「高度技術提案型」総合評価方式で活用していく方針を打ち出している。12月から年明け3月にかけて、「高度技術提案型」の本格実施に向けた議論をしていく運びとなった。現実的には、難易度が高く大規模な一部の工事が対象になるのだろうが、どのような定義付けがされるのか、興味深い

▼14条が注目される理由は、「予定価格の上限拘束性」撤廃への突破口としての期待によるところが大きいのでは。競争入札とは予定価格以下の金額で競うもの、という大前提は、入札参加者の「常識」となっているものの、撤廃を望む声は根強くある

▼公共工事品確法では、価格と品質が総合的に優れた調達を掲げている。技術が群を抜いてすばらしくても、予定価格を1円でも上回ってしまった場合は「即刻アウト」では、釈然としない気持ちも沸いてくる。ただ、仮に上限拘束性を撤廃した場合は、発注者が確保している歳出予算額と落札額とが乖離してくる危険性があるため、事は単純でない

▼公共事業の「予定価格」と聞くと、反射的にダーティーなイメージを持つ国民は多いだろう。払拭していくためにも、受注者と発注者の双方が「予定価格」について活発な意見交換を継続して交わし、より良い仕組みを模索する姿勢が肝要では。(本・UT)

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