コラム

2006/01/12

とりあえず働いてみよう(前・NK)

2006.01.12 【とりあえず働いてみよう】

▼昨年の「若年無業者に関する調査」(内閣府)によると、02年現在、就業・就学・職業訓練のいずれもしていない若者(ニート)は85万人との試算がでている。現在も全容を掴めぬまま、ニートは増加しているとされる

▼ニートの中心構成世代は、思春期にバブル崩壊を目の当たりにした。「努力しても結局リストラされる」「一生懸命働いても意味がない」といった虚無感から、労働による社会参加意欲を喪失していく、と有識者たちは分析する。教育や就労政策の不備・不具合に取り残された現代社会の被害者=ニートという図式だ

▼そんな中、先日目にした30代・キャリア女性の意見は新鮮で強烈だ。「四の五の言わずにとにかく働け」と一喝。「日々繰り返しのような作業や業務も、少しずつだが効率よく迅速かつ正確にできるようになる。これは給料以外でどの職種でも得られる労働の楽しみ。経験しないのはもったない」と

▼哲学者カントは「幸せを求めるのではなく、幸せに値する生活を送れ」と説いた。自己実現、社会的責務、やりがい、夢などと大それたことは考えなくてもよい。とりあえず働き、ささやかな成功体験を積む。不向きと決めつけていた仕事が性に合っていたという発見もあるだろう。「幸せ」になる要素が詰まっているように思える

▼農水省は若者の就農支援を行うと発表。跡継ぎが減少する農業を活性化したい考えだ。建設業も同様、厳しい経営状況とともに若い技術者不足が深刻化している。建設業でも新しいアイデアを出し合い、何とかして労働の受け皿になり、人を育てることが未来につながっていく気がするが。(前・NK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら